はじめに: 計算設計の力

Rhino/Grasshopperを使った計算設計は、構造エンジニアリング分野で重要性を増しています。今回は、Grasshopperと構造解析ソフトウェアOpenSees、そのGrasshopperプラグインAlpaca4Dを連携させ、建物の耐震壁(シアウォール)配置を最適化するワークフローをご紹介します。このアプローチは、初期設計段階での構造評価や設計探索に非常に有効です。

パラメトリック耐震壁配置の全体像

このワークフローは、まずGrasshopperで建物の構造フレーム(柱、梁、耐震壁)をパラメトリックにモデリングすることから始まります。Grasshopperの基本的なジオメトリ生成コンポーネントを使って、構造グリッド上に柱や梁を配置し、耐震壁の候補となる位置を定義します。

定義された候補位置に対し、耐震壁をパラメトリックに再配置できるシステムを構築。これにより、異なる壁構成を迅速に生成し、それぞれの構造応答を評価することが可能になります。この柔軟なモデリング手法が、後の最適化プロセスで非常に重要です。

Galapagosによる初期最適化の確認

耐震壁配置が建物の構造性能に与える影響を評価するため、OpenSeesによる構造解析が行われます。GrasshopperとAlpaca4Dを連携させることで、Grasshopper上で定義されたモデルを直接OpenSeesに渡し、解析を実行できます。解析結果として得られる横剛性、耐荷重性、建物ドリフトといった指標は、耐震壁配置の効果を判断する重要な情報です。

そして、Grasshopperに標準搭載されている最適化コンポーネントGalapagosの出番です。Galapagosは、定義されたパラメータ(耐震壁の位置やサイズなど)を自動調整し、特定の目標(ドリフト最小化や剛性最大化)を達成する最適な解を探索します。このステップでは、初期の最適化解を見つけ出し、その性能を評価することで、設計空間における有望な領域を特定します。

最適化の進め方と注意点

このワークフローの主な目的は、耐震壁の位置と構成が横剛性、耐荷重性、建物ドリフトにどう影響するかを探り、反復的な計算評価を通じて、より効果的な壁レイアウトを特定することにあります。パラメトリックな幾何モデリング、構造解析、最適化のプロセスを接続することで、耐震壁の位置を系統的に変化させながら、建物全体の挙動への影響を観察できます。

ただし、このワークフローはあくまで初期の構造評価や設計探索を目的としています。最終的な構造設計、建築基準法への準拠チェック、または最終的なエンジニアリング検証の代替と見なすべきではありません。あくまで設計の初期段階で、より良いアイデアや方向性を見つけるための強力なツールとして活用してください。