はじめに: 計算構造解析の新境地

近年、建築・構造設計分野では、パラメトリックデザインと計算解析の融合が急速に進んでいます。特に、構造解析ソフトウェアETABSとRhino/Grasshopperの連携は、複雑な構造システムの設計と検証に強力なツールです。本記事では、オープンソースの計算工学フレームワークBHoMを介し、ETABSとGrasshopperを連携させた2Dフレームのモーダル解析ワークフローを紹介します。設計初期段階での迅速な構造性能評価を可能にし、設計プロセス全体の効率化に貢献するでしょう。

ワークフローの概要: BHoMとETABSの連携

このワークフローの中心は、BHoM、ETABS Toolkit、Grasshopperの三者の連携です。Grasshopperで定義されたジオメトリや構造要素は、BHoMオブジェクトとして抽象化され、ETABS Toolkitを通じてETABSモデルへ変換されます。これにより、Grasshopperの柔軟なモデリング能力と、ETABSの高度な構造解析機能がシームレスに結合されます。例えば、Grasshopperでフレーム形状や部材断面を定義し、Structure_BeamStructure_ColumnといったBHoMコンポーネントで構造要素として認識させ、ETABS_ModelコンポーネントでETABSモデルを構築します。解析結果は再びGrasshopperに戻し、視覚化や最適化に活用できます。

モーダル解析の実践: GitHubを活用

2Dフレームのモーダル解析では、構造物の固有周期や固有モード形状の把握が重要です。GrasshopperとBHoMの組み合わせにより、これらの解析を自動化できます。具体的なGrasshopper定義ファイルやサンプルデータは、筆者のGitHubリポジトリで公開中。リポジトリには成功例だけでなく、実験的な試みも含まれ、BHoMとETABSの学習プロセスが記録されています。BHoM_Analyserコンポーネントで解析設定を行い、Analyse_Modalメソッドを使ってモーダル解析を実行する様子が示されています。ファイルをダウンロードし、ご自身の環境で実際に動かしながら、そのロジックと動作を体験してください。

学習と探求: 計算設計の未来へ

このワークフローは、単なる解析手法の紹介に留まりません。BHoMという強力なフレームワークを通じて、ETABSの機能をGrasshopperから操作する「計算設計」の可能性を示唆しています。構造エンジニアや計算デザイナーの方々にとって、この実践的なアプローチは、自身のスキルセットを拡張し、より複雑な設計課題に対応するための貴重な知見となるでしょう。ぜひ、GitHubリポジトリのファイルを活用し、BHoM、ETABS、Grasshopperの連携による構造解析の奥深さを探求してみてください。